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昼下がりのパサール (#02)
昼下がりのパサール散歩。
バナナのブロックを過ぎると、ココヤシ(ココナツ)を取り扱うブロックに差し掛かりました。

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店番のおじさんが、ヤシの実の山に埋もれて携帯電話でショートメールを打っていました。


ところで「ヤシの実」と聞いて、日本人が一番最初に思い浮かべるのがこのココヤシでしょう。
しかし、実はヤシ科の植物は世界中に約230属、約3500種あるといわれており、
上の写真に見るココヤシ(Cocos nucifera)はその中の一種でしかありません。

ヤシ科の植物、熱帯アジアでは人々に広く利用されるとても有益な植物。
庶民によるその利用法は非常に多岐にわたり、私がもっとも興味を持っている植物のひとつです。
意外なところでは、籐椅子の原料であるラタン(籐:トウ)なども、ヤシの仲間のトウヤシから採られています。
さまざまなヤシ科植物の利用については、折りにふれ、このブログでも紹介していくことになるでしょう。


さて、パサールのココヤシに話を戻しましょう。
店舗前の路上では、皮を剥いた椰子を割り、ココナツ・ジュースをとっているおじさんが。
カメラを首から提げた私を見つけて、「おう、撮ってくれよ!」

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その場で写真を渡せるわけではないのですが、撮れた写真をカメラのモニターで見せてあげたら、
「飲んでいきなよ」と、ひとつくれました。歩き回って汗だくの身体にはとっても嬉しいプレゼント。
飲み口を作ってくれたので、その場であおる様にしてガブ飲みします。

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皆さんがバリ島などで飲むココナツ・ジュースは、1枚目の写真にみる青いココナツそのままにストローを挿して頂くのが普通でしょう。
私が頂いたものは殻を剥いてあるので、中の繊維質がむき出しになっています。


ココヤシの実は、その部位ごとにいろんな用途に使えるのです。

まず外側のつるつるとした青い皮。これは外果皮と呼ばれます。
これを剥くと、荒い繊維質の中果皮があらわれます。
ジュースにと頂いた上の写真に見えるのが中果皮です。
この中果皮はロープや亀の子たわしになりますし、変わったところでは自動車座席のシートの内材としても使われています。

また、外果皮と中果皮は椰子殻炭として広く利用されます。
路上のサテ(串焼き)屋で使われている炭の多くが、この椰子殻炭です。
下の写真で右端の白いTシャツのおじさんが積んでいるのが、炭にするために売られていく椰子殻です。

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次いで、この中果皮をむしると出てくるのが茶色い薄皮のような内果皮。
内果皮に包まれている白い部分が胚乳です。

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ココナツ・ジュースと呼ばれるのは、この白い固形胚乳の中を満たしている液状胚乳(果水)なのです。
ご存知の通り、このココナツ・ジュースはスポーツ飲料のようなさっぱりした味で、
一説には人間の体液に近く、戦時下ではリンゲル液の代用として点滴に使われたとか。

ちなみに、この液状胚乳、実が熟れると共にジュースがなくなっていき、胚(胚芽)に成長します。
下の写真で手に持っているのが胚で、これが芽になって若葉を出します。
液体がいつの間にかこんな胚になってしまうのがなんとも不思議です。

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                 胚の写真は2005年9月にスラウェシ島パル市近郊にて撮影


白い固形胚乳は、熱帯アジアの料理には欠かせないココナツ・ミルクの原料。
これをおろし金やグラインダーで細かく粉砕し、水を加えて絞った絞り汁がココナツ・ミルクになります。

私にジュースをくれたおじさんの作業は、ジュースそのものが目的なのではなく、
ココナツ・ミルクの原料として、胚乳を取り出すのが目的なのでした。

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ヤシの利用について語り始めると、どうも止まらなくなってしまいます。
まだまだ記したいこともありますが、長くなるのでこの辺でやめておきましょう...


ココヤシ(Cocos nucifera
K200D & DA*16-50mmF2.8
6枚目のみoptio s5nにて撮影

by asang | 2011-07-12 22:04 | Flora & Fauna
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