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バリ・ジョグジャ旅行 2010年夏 (#05)
バリ・ヒンドゥー寺院群の総本山、ブサキ寺院。
訪れる度にいろいろな発見があり、私としては何度でも足を運んでみたいのですが、
ブサキ観光にはいろいろと厄介な問題があります。

バリに限らず、インドネシアでは一般的に慣習的な地縁組織があるのが普通です。
バリではバンジャールと呼ばれるそれは、地域での祭事や自治に力を発揮するのですが、
非常に結束力が高く、外部の者が容易に理解し得ない独自の世界を形成しています。
そして、私の目から見ると、ブサキではこのバンジャールが、観光に少なからぬ影響を与えているように感じられます。

その筆頭に挙げられるのが、寺院参拝に際したガイドの制度。
ブサキ観光では観光客は、半ば強制的にガイドを雇わなければなりません。

ブサキ寺院への入場は正規のチケットがあり、現在、1万ルピア(約100円)です。
普通の寺院参拝では、この入場チケットさえ購入すれば入場できるもので、
詳しい説明を求めてガイドを雇うかどうかは、各個人の自由です。
ところが、このブサキ寺院、ガイドを雇わないと入場できないようなのです。
入場チケットのもぎりのところで、ガイドを雇わないと入れない、というような説明を受けます。

実際のところは良くわかりません。
強行してガイドなしで入場しても良いのかもしれませんが、それが許されないような雰囲気です。

で、このガイド料が、かなり高額です。
「幾らなの?」と聞くと、「お布施ですからあなたのご自由の金額で」という返答が帰っては来るのですが、
「では1万ルピアで…」などと答えても相手にもしてくれません。
お布施と称するガイド料の支払い帳簿に目を通すと、最低でも10万ルピアを払わされているようです。
特に外国人観光客は名前の横に30万とか50万ルピアの金額を記しています。

「これまで何度も来ているんだし、日本語や英語での説明も要らないから」と言うと
「では、特別にインドネシア人価格でいいから」と国内観光客用の記帳簿を差し出してきました。
外国人用とインドネシア人用の記帳簿が別々に用意されているのも気になります。

インドネシア人用の記帳簿を見ると、ほとんどが10万ルピア。
なかには5万ルピアほどの人もいますが、まぁ10万ならと、支払いをし記帳します。

そんなこんなのひと悶着あって、我々をガイドしてくれることになったのが、18歳のワヤン君。
バリの正装を身につけてそれなりの格好はしていますが、髪は茶髪で、現在高校生とのこと。
う~ん。


格好といえば、これもブサキの腑に落ちない点がひとつ。
バリの寺院を参拝するにあたっては、身を正し、正装することが望まれますが、
観光客は、腰に巻く布(サルン)や帯を身につけることで、正装に順ずる格好として参拝が許されます。
だいたいどこのお寺でもこれらの貸し出しが用意されていて、普通は入場料に含まれているものです。
ところが、ブサキの場合は貸し出しがない(と、思います。間違ってたらごめんなさい)。

で、どうするかというと、入場チケットのもぎりの周辺にある売店で、サルンを買わなければなりません。
もちろん、売店を経営しているのも地元のバンジャールに属する人たちです
(あ~、写真がない。売店の写真も撮っておけばよかった…)。

私はバリ旅行では常にサルンを持ち歩いているし、
母には(以前にバリで買った)巻きスカートを履いて出掛ける様に指示しておいたのですが、
サルンも巻きスカートもない叔母はサルンを買わねばなりません。
しかもその値段が市価の3倍以上!
もちろんしっかり交渉してモノに見合う値段で買いましたが。

そんなこんなで、ブサキではお寺を回る前にいくつもの面倒があって、
心安らかになるどころか、とっても嫌な気分を味あわなければなりません。

これはツアーで観光ガイドを連れている旅行者も同様で、あくまでも地元ブサキのバンジャールに属するガイドを雇わねばなりません。
街からついてくる観光ガイドもバリ人ですが、同じバリ人であっても
他所のバンジャールを訪れている以上、地元のバンジャールの取り決めに従わざるを得ません。

結果的に、島内観光でツアー会社に最も敬遠されているのがブサキ観光だったりします。
個人旅行であれ、ツアー参加であれ、ブサキ観光のガイドを巡っては多くのトラブルがあるようです。
バリ・ヒンドゥーの総本山であるにも関わらず、本当に残念なことです。


さて、前置きが非常に長くなってしまいましたが、
ガイドをしてくれることになったワヤン君に連れられて、寺院群を見て回ります。
まずは前回のエントリーでも記したブサキの中心寺院、Pura Penataran Agungから。

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母と叔母、そして白い正装に身を包んでいるのがガイドのワヤン君。
寺院の正面入り口である割り門とその左右に警鐘殿が見えます。

この門の先がPenataran Agung寺院で、この先7つの階層(Mandala)に分けられた寺院の本殿が続いています。
ここから先は俗世間のあれこれを持ち込んではいけない、聖なる空間となるそうです。

割り門のあいだには小さな鉄格子の門がはめられています。
信者以外はここから先は立ち入ることが出来ない、というのが一応の決まりです。
ですが、雇ったガイドを連れていることで、この先の領域に少しだけ足を踏み入れることが出来るのです。


ワヤン君に連れられて割り門の先に進みます。
第1階層にあたるこのスペースはそんなに広くはなく、次の階層へ続く立派な門が目立ちました。

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もちろん我々に対して開かれることはないのですが、門までは近づいてもよし、とのこと。
非常に手の込んだ装飾に目を奪われます。
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この門を通ることは出来ないのですが、ワヤン君の指示に従って、門の脇の隙間から次の第2階層に上がります。

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第2階層に拡がっているのが祭礼などを行うスペース。
ただし、みだりに歩き回ることは出来ず、観光客はこの階層の隅っこの方を歩くことが許されているだけです。

実はブサキで最も重要なオブジェのひとつがこの第2階層にあります。
Padmasanaと呼ばれる、三大神が降り立つ3つの椅子。神の依り代となるものです。
向かって右端、黒・黄・白・赤の4つの傘の後ろにあるのがそれです。

そのほかにはMeruと呼ばれる、インド神話におけるメル山を模している尖塔が幾つか建っています。
それぞれひとつずつの意味や用途について知りたいと思うのですが、高校生ガイドのワヤン君に聞いても良くわかりません。
もっともこちらもバリ・ヒンドゥーについての知識がほとんどないので、専門用語などの難しさもあって余計に良くわからないのですが。
次回はもうちょっと勉強してから来よう!(といつも思うのですが…)

さて、Padmasanaの後ろには、続く第3階層以降の建物が見えていますが、観光客が入れるのはここまで。
広場の脇を通り、左隅に設けられた通用門を通ってPenataran Agung寺院を後にします。


思うに、ガイドを雇わなければならない理由のひとつに、
信者でない者が入ってはいけない領域に勝手に踏み込むのを防ぐ、という目的もあるのだと思います。

ちょうど私が写真を撮っているときに、祈りを捧げる広場を突っ切って進む観光客がいて、ひと悶着ありました。
厳重注意を受けたのは当の観光客ではなく、案内しているガイドのほうでした。
神の領域で犯してはいけない過ちを避けるという配慮は、何も知らない観光客であっても当然のことだと思います。
そういう場面を目にすると、やはりガイドは必要だなという気持ちはするのです。

また、高すぎると思わざるを得ないガイド料にしても、
それらは寺院の維持管理に使われるのはもちろんのこと、
ワヤン君のようのガイド達が身に着ける正装なども、観光客が払うガイド料から調達されるのだとのこと。
理由を聞けばなるほどそうだろうな、とは思うのですが
ただ、そういう必然性があるのであればなおさら、観光客に不快な思いを抱かせるようなやり方ではなくて、
用途もハッキリさせた上で、正規に料金を定めてきちんと徴収したらよいのに、と思ってしまいます。
これだけ素晴らしい文化遺産を案内して貰うのに、ある程度高額な参拝料を払ってでも足を運びたい、という人は少なくないと思うのですが。

もっとも、そういう風に白黒ハッキリさせるようなやり方を好まないのがバリ人であり、バリの文化なのかもしれません。

そんなことを考えながら、でもバリ・ヒンドゥーの世界をもっと知りたいと、
後ろ髪を引かれるような思いでPura Penataran Agungを後にしたのでした。

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by asang | 2010-07-19 05:44 | Bali
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