タグ:optio s5n ( 8 ) タグの人気記事
有朋自遠方来
お昼過ぎに、懐かしい友人から電話がありました。
「今、ボゴール駅に着いたところなんだけれども、アサンの家に行くにはどうやって行ったらいいかね?」

電話の相手はスマトラ島パダン市に住む友人のKさん。
数日前にも連絡を貰っていて、
「近々ジャカルタに出る用事があるので、どこかで逢おう」とは聞いていましたが、
いつ来るのかなど詳細は不明でした。
いきなり電話してきて、今からお前の家に行くから、とは、いやはや...

ちょうどお昼時だったので、近くのレストランで会うことにして、仕事を中断して、
急ぎ、待ち合わせ場所に向かいます。


Kさん、知り合ってもう15年近くになるでしょうか。
私がまだ東京で学生をしていた頃、あるセミナーのパネリストとして来日しました。
5日ほど日本に滞在していましたが、休日に東京観光する際のアテンドがいなかったため、
インドネシア語の勉強のためにと、私がお供したのでした。
上野公園や浅草なんかを案内したことが思い出されます。
東京タワーの展望台から眼下を見下ろした際に、目にした墓地の土地の値段を知って
「日本では貧乏人は死ぬこともできんな」とつぶやいたのが印象に残っています。


その後、私がインドネシアに駐在してからも交流が続き、スマトラ北部で仕事がある際にはお手伝いして貰ったりしていました。
2004年12月のスマトラ沖大地震の際は、日本からの支援チームの受け入れ先として奮闘してくれました。


そんなKさんに案内して貰ったスマトラ島北部。
オイルパームやユーカリのプランテーションの現場などを案内して貰い、多くのことを教えていただきました。
2005年の10月の写真です。

製紙用パルプを生産するためのユーカリのプランテーションと精製工場。

b0170682_023777.jpg

b0170682_041575.jpg


オイルパーム(油やし)のプランテーション。

b0170682_054426.jpg

b0170682_065177.jpg

どちらも、天然林が伐採されて、行けども行けどもモノカルチャーの広大なプランテーションが広がり、
森林劣化の現場を肌で感じる、貴重な経験となりました。


こちらはマングローブ炭を作る炭焼き小屋。
日本への輸出が、地域の人達の生計を支えていることを知りました。

b0170682_075466.jpg



グヌン・ルーセル国立公園では、リハビリを終えて野生に返されたオランウータンと出会うことができました。

b0170682_083066.jpg



森の中で大きなムカデを手に乗せておどけるKさん。

b0170682_094048.jpg



さて、そのKさん。約束のレストランに向かうと、娘さんと二人で私を待っていました。
娘さんがこの9月からインドネシア大学の数学科に入学することになり、
娘さんの寮探しを兼ねて、西スマトラのパダン市からバスに乗り、1昼夜かけてジャカルタに出てきたとのこと。

娘さんを交え、昼食をとりながら昔話に花を咲かせます。
1時間ほどで食事を終えると、神妙な面持ちになり、「ところで...」と話を切り出します。

「さて、こうして娘が大学進学することになった。
学費と下宿代はなんとかなったけれども、学業に必要なノートパソコンを買ってやる費用が足りない。
ついてはアサンからの支援を受けたく、どうか頼む!」

聞くと、あちこち知り合いを回って、既に250万ルピアほどは確保できたとのこと。
まだこれからあちこち回るけれども、目標にしている400万ルピアを得るために、私からも支援をして欲しいとのことでした。

突然のことで少々面食らいましたが、財布には食事代を払っても50万ルピアほど残っていたので、そのお金を差し出しました。
約4500円ほど。もうちょっとあげられれば良かったのですが、ちょうど財布の中身がそれしか残っていなかったので。


日本人はお金持ちと思われていますから、インドネシアに住む日本人は
多かれ少なかれ、金を借りたい、という申し出を受けた経験があるかと思います。
私もこの10年間で数え切れないほどの依頼を受けています。
ただ、貸したお金が返ってこない、その後、連絡がつかなくなる、など、
お金が絡んで友情が途切れるケースも多く、いろいろと不快な思いもしているので、
この手の話は避けたい話題のひとつではあるのです。

しかし、今日のKさんの申し出は気持ち良いものでした。
知らぬ仲ではなし、お金が必要ならば電話でやり取りし、
直接顔を合わさずともKさんの口座に送金することだって可能です。
でもKさんは、わざわざスマトラから島を渡って、娘本人を連れて私に挨拶に来ました。
お金の無心など、本来は娘の前ではしたくないのが親心だと思うのですが、
彼はむしろ娘の前で頭を下げ、貸してくれ、ではなく、娘のために支援を求む、と恥じることなく申し出たのです。
ジャカルタからは1時間かけて電車に乗ってボゴールまで私に会いに来た訳ですが、
娘さんを寮に置いて、一人で来ることだって可能だったはずです。


知り合いを回って、娘の目の前で頭を下げる父親。
困ったときにはいかに日頃の人間関係が大事であるか、ということや
人に支援をお願いすることがいかに大変なことか、ということを
娘さんは肌身で感じたことでしょう。

また、たかだか4万円程度のノートパソコンを買うにあたり、
知人を訪ねまわる苦労と恥ずかしさも知ったでしょうし、
どの人がどんな思いで支援をしてくれたかということも、感じ取ったことでしょう。

「少なくて悪いけれども、財布にはこれだけしか残っていないので」と
10万ルピア札を5枚掴んで、Kさんに渡そうとすると、
「俺じゃない、この金を受け取るのは娘だ」と、娘の手に直に渡すよう促します。
娘さんも「有難うございます。しっかり勉強することをお約束します」と頭を下げて受け取ります。
ノートパソコンを手にした時に、きっとこの気持ちを思い出してくれることでしょう。


Kさんのこの振る舞いに強く心を揺り動かされました。
娘の前でお金の無心をする、という、恥と受け取られてもおかしくない行為を、
親としての教育指導の場として生かすKさん、天晴れと思います。

「ボゴールに来た目的は達成した。本当に有難う」と、礼を述べて、二人して電車に乗って帰るKさん親子。
これからジャカルタに引き返して別の知人を回り、目標額を達成してから、
娘は寮で入学の準備をし、父親は独りバスに乗ってパダン市まで帰るそうです。

たかだか5000円弱の支援しか出来ませんでしたが、Kさん親子に多くのことを教わることになりました。
親の苦労も考えずに学費を工面して貰っておきながら、
卒業後は親を放ったらかしてインドネシアの地で好き勝手やっている自分を恥じ入ります。
Kさんの素晴らしい態度に感動しつつも、自分のふがいなさを噛み締める、複雑な気持ちの夜を、いま過ごしています。
[PR]
by asang | 2012-08-30 01:12 | Friends, neighbors
昼下がりのパサール (#02)
昼下がりのパサール散歩。
バナナのブロックを過ぎると、ココヤシ(ココナツ)を取り扱うブロックに差し掛かりました。

b0170682_2127895.jpg

店番のおじさんが、ヤシの実の山に埋もれて携帯電話でショートメールを打っていました。


ところで「ヤシの実」と聞いて、日本人が一番最初に思い浮かべるのがこのココヤシでしょう。
しかし、実はヤシ科の植物は世界中に約230属、約3500種あるといわれており、
上の写真に見るココヤシ(Cocos nucifera)はその中の一種でしかありません。

ヤシ科の植物、熱帯アジアでは人々に広く利用されるとても有益な植物。
庶民によるその利用法は非常に多岐にわたり、私がもっとも興味を持っている植物のひとつです。
意外なところでは、籐椅子の原料であるラタン(籐:トウ)なども、ヤシの仲間のトウヤシから採られています。
さまざまなヤシ科植物の利用については、折りにふれ、このブログでも紹介していくことになるでしょう。


さて、パサールのココヤシに話を戻しましょう。
店舗前の路上では、皮を剥いた椰子を割り、ココナツ・ジュースをとっているおじさんが。
カメラを首から提げた私を見つけて、「おう、撮ってくれよ!」

b0170682_21281673.jpg

その場で写真を渡せるわけではないのですが、撮れた写真をカメラのモニターで見せてあげたら、
「飲んでいきなよ」と、ひとつくれました。歩き回って汗だくの身体にはとっても嬉しいプレゼント。
飲み口を作ってくれたので、その場であおる様にしてガブ飲みします。

b0170682_21291292.jpg


皆さんがバリ島などで飲むココナツ・ジュースは、1枚目の写真にみる青いココナツそのままにストローを挿して頂くのが普通でしょう。
私が頂いたものは殻を剥いてあるので、中の繊維質がむき出しになっています。


ココヤシの実は、その部位ごとにいろんな用途に使えるのです。

まず外側のつるつるとした青い皮。これは外果皮と呼ばれます。
これを剥くと、荒い繊維質の中果皮があらわれます。
ジュースにと頂いた上の写真に見えるのが中果皮です。
この中果皮はロープや亀の子たわしになりますし、変わったところでは自動車座席のシートの内材としても使われています。

また、外果皮と中果皮は椰子殻炭として広く利用されます。
路上のサテ(串焼き)屋で使われている炭の多くが、この椰子殻炭です。
下の写真で右端の白いTシャツのおじさんが積んでいるのが、炭にするために売られていく椰子殻です。

b0170682_21303559.jpg



次いで、この中果皮をむしると出てくるのが茶色い薄皮のような内果皮。
内果皮に包まれている白い部分が胚乳です。

b0170682_21311447.jpg



ココナツ・ジュースと呼ばれるのは、この白い固形胚乳の中を満たしている液状胚乳(果水)なのです。
ご存知の通り、このココナツ・ジュースはスポーツ飲料のようなさっぱりした味で、
一説には人間の体液に近く、戦時下ではリンゲル液の代用として点滴に使われたとか。

ちなみに、この液状胚乳、実が熟れると共にジュースがなくなっていき、胚(胚芽)に成長します。
下の写真で手に持っているのが胚で、これが芽になって若葉を出します。
液体がいつの間にかこんな胚になってしまうのがなんとも不思議です。

b0170682_21315814.jpg

                 胚の写真は2005年9月にスラウェシ島パル市近郊にて撮影


白い固形胚乳は、熱帯アジアの料理には欠かせないココナツ・ミルクの原料。
これをおろし金やグラインダーで細かく粉砕し、水を加えて絞った絞り汁がココナツ・ミルクになります。

私にジュースをくれたおじさんの作業は、ジュースそのものが目的なのではなく、
ココナツ・ミルクの原料として、胚乳を取り出すのが目的なのでした。

b0170682_21323767.jpg



ヤシの利用について語り始めると、どうも止まらなくなってしまいます。
まだまだ記したいこともありますが、長くなるのでこの辺でやめておきましょう...


ココヤシ(Cocos nucifera
K200D & DA*16-50mmF2.8
6枚目のみoptio s5nにて撮影

[PR]
by asang | 2011-07-12 22:04 | Flora & Fauna
靴磨きの少年達
前回のエントリーでは空港で見つけた自動販売機を紹介したのですが、今回も空港での写真。
2月に一時帰国した際のジャカルタの国際線ターミナル。

喫煙所で煙草を吸っていたら、靴磨きの少年達に声を掛けられました。
他人様に靴を磨いて貰うような大層な身分ではないのですが、
彼らの仕事ぶりを写真に撮りたくて、お願いすることにしました。

b0170682_6513452.jpg

空港の近所に住んでいる子供達ですが、空いている時間には空港で靴磨きをしています。
年齢的には小学校に通っている年恰好ですが、学校には通えているのかいないのか…
聞いてみましたがはっきりと答えてくれません。

靴磨き、相場は大体5,000ルピア(約50円)ですが、試しに「幾ら払えばいいの?」の聞いてみました。
想像していた通り「幾らでも」という返答。
彼らの一人が履いているビーチサンダルを脱いで差し出し、私の靴を受け取ります。
つまりは私の靴を磨いて貰っているあいだ、彼のサンダルを履いて待ちます。

b0170682_6521584.jpg

b0170682_6523589.jpg

クリームを塗ってブラシで擦り、ぼろきれで拭って終了。所要時間は5分程度。
撮影させて貰ったお礼も含めて、相場の3倍の15,000ルピアほど支払いました。

この靴磨き、本来は空港内では違法な商売で取り締まりの対象です。
空港内を巡視している空港警察の警官の目を盗んでの商売です。
違法とはわかっているのですが、きちんと仕事をしてくれるので応援したい気持ちになります。


下の写真は4年前に撮ったもの。
日本からの来客を待ちながらコーヒーを飲んでいると、やはり少年が寄ってきました。
お願いすると、カフェのソファの裏に隠れて磨き始めます。
このときは理由がわからずに、なんで隠れて磨くのか不審に感じたものです。

b0170682_653041.jpg


b0170682_6531729.jpg

警官が通りかからないか、磨きながらたびたび周囲を見回します。

b0170682_6533951.jpg

最後の仕上げはぼろきれではなく、自分の着ているシャツで磨いていました。

このときは写真を撮りづらかったので、ソファの後ろから出てくるようにお願いしたのですが、
それが仇になって、警官に見つかってしまいました。
警官は私には眼もくれず、何も言わずに少年の商売道具である靴クリームとブラシを取り上げて去っていきました。
ほんの数秒のことで、私は目の前で何が起こっているのか理解が出来なかったのですが、
去っていく警官の後姿を見ながら、少年が隠れて靴を磨いていた理由を理解したのでした。

知らなかったとは言え悪いことをしちゃったな、と、靴磨きの料金のほかにクリームとブラシを買い直す金額を上乗せして支払ったのですが、
それが嬉しかったのか、しきりに「おじさん、ありがとう」を繰り返して、しばらく私のそばにいました。
せっかくなので撮った写真を見せながら話をしました。
名前はブディで、11歳。学校には通っておらず、2キロほど離れた家から自転車で空港に通っているとのことでした。
「一日どれくらい稼ぐの?」と聞いたら、日によってまったく稼ぎがないときもあれば、30,000ルピアぐらい稼ぐこともあるとか。
最も稼ぐ日でも、お客さんは10人に満たないということですね。

子供達が自分の小遣い稼ぎに労働に就く分には反対はしないのですが、
学校に通えなかったり、家族を支えるために働かざるを得なかったりする状況はとても残念に思います。
この4年間のあいだにほとんどの公立小学校は学費が無料になったりするなど、少しずつ状況の改善は見られるようですが、
この国ではまだまだ働かざるを得ない状況にある子供達がたくさんいます。

4年前に私の靴を磨いてくれたブディ、いまはどうしているでしょうか。


1~3枚目:K200D & DA*16-50mmF2.8ED AL
4~6枚目:Optio s5n

[PR]
by asang | 2010-06-13 07:03 | Livelihood
電車に乗って
所用で水天宮前行きの急行に乗りました。

b0170682_193161.jpg

と、言うのはもちろんウソです。
いや、この列車に乗ったのは確かですが、行き先はジャカルタでした。

ジャカルタ-ボゴール間の急行には日本の中古車量が使われています。
もともとのきっかけは日本政府からの開発援助によって、日本で使われていた旧車両が提供されたことによるものです。

その後、インドネシア政府の独自資金によっても購入が続いています。
写真は都営三田線の旧車両です。
ほかにもJRや東急の旧車両が使われているようです。

b0170682_194410.jpg

発車までに時間があったので、写真を撮りながら時間をつぶしました。
車両の前に出てみたら、運転席前の表示は準急になっていました。
まぁ、こちらの人は表示の意味さえ判らないので頓着ないのも当然ですが。

ちなみに運転席前の窓には金網が張られています。
これは投石対策だそうです。

ボゴールはターミナル駅なので結構大きいです。
4本あるホームの高さがそれぞれ違うのはご愛嬌。
低いホームへの乗降用に、各ドアにはステップが追加されています。

b0170682_1944646.jpg




しばらくすると各駅停車の車両が入線してきました。
各駅停車(エコノミー・クラス)はドアが開きっぱなしのまま運行です。

b0170682_19144414.jpg

b0170682_19153610.jpg

b0170682_19161718.jpg


電車が到着すると、乗っていた人もこれから乗ろうとする人も、線路を歩いて移動します。
なんとものどかなボゴール駅の情景でした。


以下の2枚は4年前に撮った写真。

b0170682_19165682.jpg

日本からの援助車両にはそれと判るように1両ごとに援助マークのステッカーが貼られています。
禁煙のプレートもそのままですね。
日本車両は綺麗だし、エアコンがついているので評判が良いです。
ちなみにボゴール-ジャカルタ間の急行は所要時間約1時間で、現在の運賃は約110円です。
110円だと屋台でお昼ご飯を1杯食べるぐらいの値段です。
エコノミー・クラスは今、いくらだったかなぁ? 最後に乗ったとき(4年前)は25円ぐらいだったのですが。


こちらはエコノミー・クラス。珍妙な乗客に驚きました。

b0170682_198868.jpg


運賃はどうなるんでしょうねぇ?
車掌の改札の際には「いや~、一匹一枚ずつ切符を買ったんですよ~、でもねぇ、みんな食べられちゃいました~」
なんて粋なやり取りがあると面白いんですが。

黒い顔をした羊さんは...残念ながらいなかったようです。
このブログを訪問してくださる黒い顔の羊さんは、ちゃんと切符を買って食べずに電車にお乗りのことと思います、たぶん。


追記
アップしてから良く見たら、なんだ、黒い顔の羊さん、いるじゃないですか!
白い顔の下に黒い顔がありました。角まで黒くてわかりませんでした。
もしかして名古屋から遠征!?
[PR]
by asang | 2010-02-02 19:29 | Urbanscape
西ジャワの収穫祭 (#7)
魔除けの米倉に向けた行進。
b0170682_22503661.jpg

祭司と稲の女神の少女達を先頭にして、稲束を担いだ村人達がそれに続きます。
先に紹介したDog-Dog Lojorのメンバーも列に加わって、行進に音楽を添えます。

b0170682_2252117.jpg

b0170682_22533754.jpg

行列はかなりの長さです。ファインダーに収まりきりません。

稲の女神を模した少女達
b0170682_22543031.jpg

b0170682_22552953.jpg


行進は約1時間をかけて、集落の魔除けの米倉前までたどり着きました。
b0170682_22562711.jpg

b0170682_22573435.jpg


この稲を担いだ行進、担ぎ棒に工夫がしてあって、稲束が左右に揺れるのに合わせてブォンブォンとかなり大きな音がします。
竹で出来た担ぎ棒の稲を吊るす紐の部分にスリットが入れてあって、音が共鳴するようになっています。
普段の農作業時に使う担ぎ棒にはない仕組みですので、この収穫祭のために用意される特別の担ぎ棒です。
大きな音を出すことから悪い霊が稲に取り付かないように、魔除けの音を出すのだと思います。

どんな音がするのかは動画でご確認ください。
こちらは2年前のCiputamulya集落での収穫祭の映像です。


[PR]
by asang | 2009-07-07 23:03 | Event
西ジャワの収穫祭 (#4)
収穫物の展示即売が終わり、日も傾き始めた頃。
収穫祭に参加するために各地から馳せ参じた訪問客達が、
夕餉の前のひと時を雑談をしながら過ごしている時を見計らって始まったのがDog-Dog Lojor。

b0170682_21335375.jpg


竹で作られたアンクルンと呼ばれる木琴と、これも竹で作られた太鼓の音を基調に、女性が踊りながら練り歩く伝統芸能です。
Dog-Dogは叩く太鼓が奏でる音、Lojorは「長い」を意味するスンダ語で、竹で出来た長い太鼓の形容から付けられています。

収穫祭に限らず、結婚式などの祝いの席に招待されるこのDog-Dog Lojor。
この伝統芸能を演じられるグループはいくつもあるのですが、なかでもレバック県マカルサリ村のグループは、その秀でたパフォーマンスで有名です。
今回の収穫祭でもマカルサリ村のグループが招待されていました。
これまでにも何度かお会いしている、私も良く知っているグループです。

b0170682_21341981.jpg


彼らは祝いの席に呼ばれ、歌と踊りを通して場を盛り上げます。
収穫祭であれば、今年の収穫を言祝ぐとともに、首長および集落の繁栄をリズムに乗せて歌い上げます。

太鼓を叩き、踊り、歌いながら、来場者の間を練り歩くDog-Dog Lojorのパフォーマンス。
b0170682_21344323.jpg



場を盛大に盛り上げることがこのDog-Dog Lojorの目的であり、
招待主であるカスプハン・チプタグラルの繁栄を聴衆の前で歌い上げることで、彼らの仕事は達成されるのですが、
私はこのDog-Dog Lojorのパフォーマンスの、別の側面を大変気に入っています。

彼らはこうした機会を利用して、雇い主である首長から報酬を得るほかに、聴衆からのおひねりを得ることにもその技を生かします。
聴衆の間を練り歩いて、おひねりをくれそうな人を探し褒め称えるのです。

b0170682_2135969.jpg

このときの最初のターゲットは私でした。

メンバーが太鼓を抱え、歌い手の準備が整うと、彼らのパフォーマンスが始まります。
「あ~、なんと新聞記者の人がお見えだよ~。大きなカメラを抱えて私たちの写真を撮っているよ~」
こんな文句を、節を付けて歌います。
続けて、
「記者さん、記者さん。こんな小汚い私たちを写真に収めてどうするのさ~。きっと写真が新聞に載って、いっぱいお金を貰うんだろうさ~
そう、あなたはお金持ち~。大きなカメラを手に出来るようなお金持ち~」

こうやって聴衆の前でその人を褒め称える歌を歌うのです。
賞賛の歌と踊りは、歌われた人がおひねりを渡すまで続けられます。
外見からその人の褒めるべき要素を見出し、節に載せて歌い褒めるのが彼らの技なのです。

あるいはお連れ合いを褒める。
「あ~この旦那、たいそう綺麗な奥さんをお連れだね~。町でビジネスに成功して、皆がうらやむ美人の奥さんを娶ったよ~」
こんなのは常套句ですね。

褒め言葉は必ずしも事実に即している必要はありません。
聴衆が納得するような賞賛であればよいのです。
実際、私は新聞記者ではありません。歌っている当のおばさんも、私が記者でないことを知っています。
そんなことはどうでも良いのです。
一眼レフのカメラを構えた私を、記者であると褒め、褒められた私が気をよくしておひねりを渡すことが大切なのですから。

b0170682_21353745.jpg


あるいはその逆。おひねりを出さないケチな客は皆の前で貶めます。

「この旦那、見事な体躯にもかかわらず、ずいぶんとケチなお人だよ~。貧しい我々に、おひねりのひとつも出しやしない。
ねぇねぇ皆さん、見た目と行動が反していると思いませんか?」

当人を本当に怒らしてしまってはマズイですから、周りの人の笑いを誘いながら、
当人が体面を気にして財布を取り出さざるを得ないような状況をうまく作っていきます。


b0170682_21355936.jpg

このような言葉を使った巧みな技が、このDog-Dog Lojorの生きたパフォーマンスの醍醐味です。


私には小さな夢があって、もし将来、インドネシアで生涯のパートナーを得るようなことになったら、
その挙式にはぜひともこのマカルサリ村のDog-Dog Lojorのメンバーに来てもらって
そのパフォーマンスで場を盛り上げて欲しいと思っているのです。


追記

別のカスプハンでの収穫祭ですが、Dog-Dog Lojorを撮影した動画があったので貼り付けてみます。
演者はここで紹介しているマカルサリ村のメンバーです。
2006年7月のカスプハン・チプタムルヤ(Kasepuhan Ciptamulya)での収穫祭の時のものです。
ペンタックスのデジカメ、Optio s5nで撮影しています。


[PR]
by asang | 2009-06-30 21:49 | Event
訪問者達
家にはときどき珍妙な訪問者達が訪れます。

まずは訪問者と言うより、ほぼ毎日目にするコイツ。
b0170682_23162157.jpg

ヤモリです。
バリ島に旅行に行ったことのある人なら必ず目にしていると思います。
「チャッ チャッ チャッ」と鳴くので、インドネシア語ではCicak(チチャッ)と呼ばれています。
b0170682_23165545.jpg

別に家にいても害はないし、蚊やハエなどの害虫を食べてくれるので、いてもらった方がいいのでしょうが、あちこちにフンが落ちるのが気になります。
モップがけをしたばかりのキレイな床に、ぴちゃっ、と水分の多いフンをされると腹が立つものです。


たまにこんな奴もきます。
b0170682_23171840.jpg

いわゆるグリーン・リザードです。庭に植えていたパパイヤの木に張り付いていました。
緑の保護色なので、その存在になかなか気づかないのですが。
一説によると寒くなると茶色く変色するらしいです。
よく見ると精悍な顔つきをしていて、ちょっとカッコいいです。


こちらはサソリモドキ。
b0170682_231802.jpg

最初、名前が分からなくて勝手にサソリモドキと呼んでいたら、本当にサソリモドキという和名でした。
こいつもグロテスクな風貌のわりに、刺したり咬んだりはしないので害はないのですが、身の危険を感じると酢酸のガスを噴射します。
で、部屋の隅とかにいるのに気がつかずに近くを通り過ぎたりすると、かなり臭いガスを撒き散らす困ったちゃんです。
酢酸なので当然ですが、酸っぱい香りに部屋が満たされます。


今回は普段目にする、訪問者達の紹介でした。


撮影機材は
1・2枚目 K200D & DA*50-135mmF2.8
3枚目 K200D & Tamron AF18-250mm F3.5-6.3 Di II
4枚目 Optio s5n

[PR]
by asang | 2009-06-12 23:23 | Flora & Fauna
Mustafaさん
ムスタファさんはお粥屋さんでした。
毎朝、屋台で私の住む地区を行商していました。
ムスさん、の愛称で親しまれ、その人柄の良さとお粥のおいしさから、地域の人たちの間で知らない人はいないほどでした。

毎日午前2時から仕込みをはじめ、6時から11時ぐらいまで屋台を押して地域一帯を回ります。
インドネシアではお粥はとてもポピュラーな食べ物で、街中でもお粥の屋台はどこでも見かけます。
お粥の屋台は多いけれども、ムスさんのお粥はとてもおいしくて近所でも評判がよく、他のお粥屋さんは商売にならないほどでした。
なので、私の住む地区にはムスさん以外のお粥屋さんが通りません。
昨年からは屋台を増やし、息子さんも屋台を引くようになりました。
一日150杯ほど売れていたお粥は、息子さんの屋台が増えた分、倍の300杯になっても、毎日売切れるほどでした。

私は少なくとも2日に一度はムスさんのお粥で朝食を頂いていました。
朝8時ごろになると、我が家の前を通ります。
陶器の椀をスプーンでチンチンチンと叩くのが彼の屋台の合図。
早く起きた朝など、彼の合図が聞こえてくるのが待ち遠しいこともしばしばでした。

お粥をたいらげるまでの10分ほどの間、ムスさんとのおしゃべりは楽しいものでした。
お粥屋を始める15年ほど前には、日系企業で働いていたこともあったとかで、当時の話もよくしてくれました。
「醤油は日本語でKIKKOMANって言うんだろ」なんて言って、「キッコーマン」を連呼しては笑っていました。

そのムスさんが亡くなってしまいました。交通事故だったそうです。
私がシンガポールに行っていた木曜日のことです。
親族を訪問するために一家全員で他県に出かけた際の事故だったと聞きました。
ムスさんは車を持っていませんでしたから、ミニバスをチャーターしたのでしょう。
家族6人で出かけて事故にあい、皆、亡くなってしまいました。

釣りが趣味で行商が休みの月曜には、毎週、釣堀りに出かけていました。
一緒に行こうよ、と誘われていたのですが、月曜では時間がとれず、約束は伸ばし伸ばしになったままでした。

ブログをはじめたこともあり、今度、きちんとムスさんの写真を撮りたいな、と思っていた矢先でした。
「私の朝食」と題して紹介するつもりでいたのに...
格好よく撮れたら写真を引き伸ばして彼にプレゼントするつもりでした。

ボゴールに住み始めてから7年間、いつもお世話になったムスさん一家の訃報を聞いて言葉を失いました。本当に残念です。

b0170682_625544.jpg


b0170682_6263022.jpg


ムスさんのお粥の屋台。
彼の写真はコンパクトカメラで撮ったこの2枚だけしかありませんでした。
ムスさん、心よりご冥福をお祈りいたします。
[PR]
by asang | 2009-05-09 06:30 | Friends, neighbors