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カンプンの水場で
カンプン(集落)の朝。
共同水場では、女性達が忙しくしています。

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私の通うジャワ島西部の中山間地の村々のほとんどで毎朝見られる光景。
集落の中には共同水場が幾つかあって、炊事・洗濯・沐浴などは、こうした水場で行われます。
近くに川が流れていれば川が水場となりますが、川が遠ければこうした水場が作られることになります。
たいていの水場は、塩ビのパイプやビニールホースを継ぎ足して、沢から水を引いてきます。

セメントで固めた水槽に水が溜まるようになっていて、それぞれが手桶やタライを使って水を汲んで炊事や洗濯をします。
井戸端会議よろしく、おばちゃん達はここで話に花を咲かせます。
私もおばちゃん達に混じって、村の中の人間関係などいろいろな情報を水場で仕入れます。

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私も含め、皆さんここで朝晩2回の沐浴もします。
さすがに沐浴の様子は撮影が憚られるのでお見せできませんが...

水場によってはもっと規模が大きく、戸が閉まる個室が2つ3つあって、沐浴も排泄もできるようになっています。
ちなみに上の写真の水場はオープンなので、トイレとしては利用されていません。


トイレといえば、村に滞在して困ることのひとつです。
ジャワ西部の中山間地の村々では、家の中にトイレがない家庭がかなり多くあります。
この写真の村でも、家の中にトイレがある家庭は全体で2割ぐらいです。

西ジャワの村々に通うようになって10年近い年月がたちますが、
いまだにその理由について私の理解が追いつかないことのひとつが、家の中にトイレを作らないという習慣です。

経済状況が厳しいから、というのは当てはまらないようです。
たしかに裕福とは言いがたく、むしろ国が定めるカテゴリーでは「貧困家庭」に分類されてしまうような収入状況ではありますが、
トイレの建設費を捻出できないほど貧しい家庭はそれほど多くありません。
オートバイやテレビなどを購入できるだけの収入はあります。
水を引くためのビニールホースと、足場や水槽を作るセメントの購入費ぐらいなら工面できないことはないはずです。

下水処理の問題でしょうか?
たしかにトイレのある家庭でも下水は垂れ流しではありますが、
ちょっとした溝を掘って水田や、魚の養殖池に流れ込むように工夫するなど、特段難しい技術を必要としていません。
少なくとも辺り一帯に下水が溢れて不衛生、という状況は避けられるはずです。


折に触れて村の人たちに聞いてみるのですが、特に家の中にトイレを作ることの必要性を感じていません。
たいていの人が川で済ませたり、共同の簡易トイレで特に不便を感じていないのです。
私などは夜中に急にもよおしたりすると、懐中電灯を手にトイレまで行くのが不便でしょうがないのですが。


共同トイレ、壁も屋根もあるきちんとしたものもありますが、たいていはこんな感じの簡単なものです。

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沢から水を引っ張ってきて、適当な布でお尻を隠すだけのトイレ。
当然、遠くからでも誰かが用を足しているのが丸見えです。
誰かが気張っていても、通行人は見て見ない振りをするのがマナーです。

私はもう慣れてしまったので、人に見られることに抵抗はないのですが、
雨の夜中に傘を差しながら真っ暗な中で用を足していると、
「自分はこんなところでいったい何をしているんだろう…」と哲学的な問いに襲われることがあります。

K200D & DA*16-50mmF2.8
by asang | 2010-04-30 19:31 | Livelihood
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